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2019.05.30―f字孔―

サウンド考察 ―f字孔― 02

―f字孔― STUDIO-KOHKIからお届けするサウンド考察

ギターが思ったような音で鳴らない…
問題はギターかアンプか、腕か(笑)、はたまた?
でも一番抜け落ちているのは「考え方」だったりするのかもしれない
何かのヒントになれば、という事で不定期に書いていきます

 

――――――――――――

 

今回は、ちょっと脱線してアコースティックの話を

 

ドラムって、とてもアコースティックな楽器です

叩けばとりあえず音は出ますが、さてどう叩くか?

例えばエイトビートを3点で

仮にひとつひとつのパーツに音量のメモリがある、と想定すると…

キック:8 / スネア:8 / ハット:5

なかなかいいバランスですよね

逆は?

キック:4 / スネア:4 / ハット:10

聴きづらいですね(笑)

 

ところで!

このような演奏の強弱による音量コントロールと、もうひとつ…

フェーダーなどの電気的なヴォリュームによる音量コントロールがあります

この両者はまったく同じように機能するのか?

実は違いますね

 

キックを5の力で踏んだとします

5で踏むと、5の音量になると同時に、「5の音色」で鳴ります

それをマイクで拾って、フェーダーを1に下げたら

「5の音色」のまま、音量だけ1になります

フェーダーを10に上げたら、「5の音色」のまま、音量だけ10になります

音色が固定のまま、音量だけが上下する

これが電気的な音量コントロールです

 

演奏自体の強弱による音量コントロールの場合は?

キックを5の力で踏むと「5の音色」で鳴ります

1の力で踏むと「5の音色」のまま、音量だけ1になりますか?

なりませんね!

1の力で踏むと、まず「1の音色」になりますよね

で、音量も1になります

音量を変えたら、同時に音色も変わる

これが、演奏の強弱による音量コントロールで起きる事です

 

完成された音色が不変のまま、音量だけが上下するのではない

音量の変化に伴い、音色も変化し続ける、という状態をどうコントロール下に置くか

これが「演奏する」という事ですね

 

音色に悩む人がいます

でも音色は音量と共にある、という事を知らなかったら?

 

キックを5の力で踏む

この時、低音・中音・高音のバランスがフラットに5だったとします

3の力で踏むと、そのバランスは変わります

変わるんですよ!(笑)

「中音」が下がります

※イメージ 低音:3 / 中音:1 / 高音:3

つまりアタックが弱まります

下に溜まりこむ低音と、ビーターがヘッドに擦れる高音の質感が聴こえてきます

そして、もちろん音量も下がります

7の力で踏むとどうでしょう

中音が持ち上がり、アタックが突出します

※イメージ 低音:7 / 中音:10 / 高音:7

そして、もちろん音量も上がります

 

このバランスの変化は、ちょっと意外でしたでしょうか

7の力で踏むと、全音域が7になる、というイメージだったかもしれません

演奏の強弱に伴い、低音と高音は上下する

が、それ以上に中音が上下する変化率の方が高い、という構造ですね

普段は、音量差によるインパクトの違いに、俄然意識が持っていかれます

実は音色も同時に変化している事に気付けていない場合が多いのです

 

「演奏の強弱に伴い、音色面では中音が率先して上下する」

そして我々が「音量」として感じている情報は、音域に言い換えると中音です

強く演奏すると音が大きく感じるのは、何より中音が突出したから

(その逆もまたしかり)

もっとも早く、遠くまで飛ぶ音域

低音・高音は、その音源から遠ざかると聴こえ難くなっていきます

中音はどこまでも届きます

オーディオを大音量にして音楽を聴くと、低音・高音の迫力がありますよね

音量を下げると、低音・高音が飛ばなくなり、中音だけに痩せていきます

それを補正するために、ラウドネス・ツマミが付いているわけですね

 

話しが飛びますが…

昔のフェンダー・アンプにはミッドのツマミが無いものがありますよね

ではミッドはコントロールできない?

できますよね

ミッドは=マスター・ヴォリュームですから(笑)

ヴォリュームがミッドです

マスター・ヴォリュームで決定したミッドの量(=体感する音量)を基準にする

そこにどれくらいローとハイを纏わりつかせるか

立派な3バンドのトーン・コントロールです

 

例えばブースターにも、ローとハイのツマミしか無いものがあります

ミッドはコントロールできないんでしょうか

ローもハイも0に絞ったら、残るのは何ですか?

ミッドが残りますから、ミッドブースターになりますね

ロー/ハイどちらかを、0から少し回復させると?

重心がローに寄ったら、ローミッド・ブースター

ハイに寄ったら、ハイミッド・ブースターですね

うまく出来ています(笑)

 

さて、演奏の強弱に伴い、音色面では中音が率先して上下する

これは全ての楽器に当てはまります

 

8千円のフォークギターを買ってきました

たぶんボディがベニアで出来ていて、安っぽい音がしました

でも、ある人が弾くと高級マーティンのように聴こえました

 

自分が弾くと安っぽい音がした

残念!

それで終わりではいけません(笑)

なぜ安っぽい音がしたのか

まず、安っぽい音の定義とは?

例えば「痩せた音」でしょうか

低音と高音の倍音が伸びず、中音にしか情報が無いような状態

 

この状態に先ほどの、演奏の強弱による音量・音色の変化の関係性を当てはめます

 

強く弾くと、中音が突出します

それが音が痩せている(安っぽい)と感じる要因です

 

8千円のフォークギターの音が安っぽく聴こえたのは

「強く弾いたから」じゃないですか?

 

では自分が「安っぽい」と感じなくなるまで、中音が下がるラインを探していく

すると、それは演奏の強弱のメモリで想定した所の「5以下」の世界にあるはずです

 

なぜなら弱く弾けば、中音が下がります

中音が下がると、相対的にそれ以外の低音・高音の倍音が伸びて聴こえます

もともと中音が過剰なギターは、こうして正常なバランスに補正しながら演奏できます

ある人が弾くと8千円が高級マーティンのように聴こえた

きっとその人は、8千円のグレードの中で出しうる「最低の中の最高ライン」

それを見抜く力に長けていて、そのライン近辺だけで演奏をしたんでしょうね

 

10の力で弾く

それを受け止めるだけの器があるのが、800万のマーティンでしょうか

8千円のギターは、1~4の力で弾くと「最低の中の最高」の音を引き出せる

 

良い所が無くとも、悪い所をオミットし続ける消去法の演奏

 

ドラマーがライブハウスの対バン・イベントに出演しました

前のバンドがパンクで、スネアのヘッドがボコボコになりました(笑)

でもスティックとリムの当て方で、特定の一箇所だけいい音が鳴る場所がありました

「そこだけ」を叩き続けてワンステージこなしました

お客さんは、何と言いますか?

「○○さんが叩くと、いいスネアの音でしたね~」

与えられた環境(=必ずしもいいとは限らない)の中で、ベストを算出する考え方ですね

 

ちなみに…

普段エレキギターを弾く人が、アコースティックギターの演奏に感じる主な難点は?

弦が硬い、弦高が高くて弾きづらい、などでしょうか

改善策として弦を細くして弦高を下げると、弾きやすくなりますが、音がビビリます

強く弾けば…ですね

強く弾かなければいいんじゃないですか(笑)

強く弾きすぎない事を前提に、低い弦高と細い弦でセットアップすると?

音の隙間が切れずにスムーズな演奏ができ、ピッチがシャープする問題が改善される

いい事尽くめ…「商品としての演奏」をこなすのに、必須の条件ばかりです

 

いい音とは…

視点をたった10cmずらせるかどうか、ただそれだけの事なのかもしれません

 

つづく...

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