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2019.05.31―f字孔―

サウンド考察 ―f字孔― 03

―f字孔― STUDIO-KOHKIからお届けするサウンド考察

ギターが思ったような音で鳴らない…
問題はギターかアンプか、腕か(笑)、はたまた?
でも一番抜け落ちているのは「考え方」だったりするのかもしれない
何かのヒントになれば、という事で不定期に書いていきます

――――――――――――

 

前回で大幅に脱線しましたが(笑)、またロックギターに戻りましょう

今回はなぜ「エレキギター」か、という話です

 

ロックの花形楽器、エレキギター

ギターの音作りに、みんなこだわり、悩む

だけどギターの音が置かれる「環境」には、あまり関心がなかったりする

 

背景と前景

たとえば日の丸とか、ゴハンと梅干でもいいですが(笑)

背景が「白」、前景が「赤」

仮に背景が「青」になったら…

それでも前景の「赤」の印象はそのままでしょうか?

いや、えらくエグい印象になりますよね(笑)

でも「赤」は変わっていない、そのままなんです

前景には手を触れない

その前景が置かれている背景を変えることで、前景の印象を操作する

 

こだわりの対象物(ここではギター)

その印象は、対象物だけで形成されているわけではない

その対象物が置かれた「環境」によって左右される

左右されなければ楽なんですが(笑)

という事は、「ギターの印象」を操作する時に、まず意識すべきは?

「ギター以外」ですよね(笑)

「ギター以外」を熟知して、初めていいギターを鳴らせるのかもしれません

 

バンドでは、ギター以外の楽器によって作られる「音環境」があります

その音環境の中で、一番支配的な楽器って何でしょう?

ほとんどの楽器は、それぞれ得意な音域に偏っていますよね

唯一、低音から高音までの全音域を(かなりの音量で)カバーする楽器…

ドラムですね!

それもそのはず、大太鼓からシンバルまでを寄せ集めた集合体ですから(笑)

そんな支配的なドラムに対して、ギターはどうアプローチするのか?

 

ギター・サウンドを語る、という事

それはつまり「対ドラム対策」を考える、という事なんです

エレキギターとはそもそも、「ドラムとの関係性の中にしか存在しない」

極論ですが、ひとつの考え方です

 

そしてこの事は、エレキギター自体の成り立ちに遡る事で見えてきます

なぜギターを電気化(エレクトリファイ)したのか?

ひとまず、昔のジャズ・アンサンブルをイメージしてみましょう

ドラムが居ます

キックが小口径の18インチ、ジャズなので演奏もそれなりに繊細…

でもなかなかの音量です(笑)

ウッドベースは、背板を部屋の隅に向けています

隅に溜まった低音が、そのまま壁伝いに部屋全体に回り込みます

部屋そのものをスピーカーの箱・エンクロージャーにしたわけですね

ちょっと音量不足ながら、うまく乗り切りました

クラシックのコンサートに行くと、コントラバスって壁側に居ますよね?

どうでもいい楽器だから壁際なわけじゃないですよ(笑)

そこから来たやり方です

小太鼓が、ロックのセッティングと逆で奏者側に傾いているのも理由があります

木管楽器など、発音の立ち上がりが遅い楽器と小太鼓が同じ音符を打つと?

スナッピーがお客さん側を向いていたんでは、小太鼓の音が早過ぎます

そこでステージ後方の壁に一度跳ね返し、ディレイした音がお客さんに届く

それで、やっと木管と発音が揃うんです

また脱線しましたが(笑)

で、ピアノもフタを開けて…

まぁ、鍵盤が飛ぶほど弾かなくても(誰?)、十分な音量ですね

サックス、でかい!(笑)

とまぁ、生音だけで成立するようにデザインされた楽器で構成されています

というか、そういう楽器しか楽器として認められてない時代ですから…

 

そこに当時、ピックギターというものがありました

f字孔のみ開いているフルアコです

ジャズ・アンサンブルに加わり、コードをサクサク弾いていました

この頃のギターの立ち位置は?

「ギターは洗濯板の代わり」

これです(笑)

想像してみてください

上記のようなジャズ編成の音量感の中に、ピックギターが生音で入ります

さて聴こえてくるのは何でしょう?

ピックが弦に当たる音だけですね

音程の情報はほとんど見えません

譜面でいう「××」音、パーカッションとしてのカッティング音だけです

ジャグバンドのウォッシュボード(洗濯板)のパーカッションってありますよね

だから、どっちでも良かったわけです

洗濯板でもギターでも(笑)

だってアンサンブルに入ったら、機能性一緒ですから…

これがギターの当初の扱いだったわけです

 

そこで、ドラムと一緒に演奏できるギターが欲しい!

ドラム、に象徴される音量感と張り合えるギターが欲しい!

これがエレキギターの始まりです

 

エレキギターとは

その誕生の瞬間から、ドラムとの相対的な関係性の中にあるのです

 

 

時は流れロックの時代、1968年…

ダーダッ!・・・ダーダッ!・・・・・・

(・の数は適当じゃありません)

18インチの小口径だったキックは、26インチになり…

スナッピーは20本から42本へ!

シンバルは枯れたジルジャンから、元気なパイステになりました

ベースも箪笥みたいなサイズのアンプで鳴っています

 

でギターは、大丈夫なんでしょうか?

何の工夫もなく「いいギターを買ってきて、アンプのツマミは全部12時さ!」

…で通用するんでしょうか?

いや、そんな事はない

ゴハンの味付けが変わったんだから、梅干も見直さなきゃいけない

 

ここに対する追求と結果が、1973年のジミーペイジの音

「永遠の詩(狂熱のライヴ)」

我々が、ロックギターに求める「いい音」のすべてがそこにある

(音楽性、演奏の好みはいったん脇に置き…)

ひとつの指標ですよね

 

ここから音環境に話を戻すと…

ジミーペイジとは、世界で最もタフな環境に置かれた、可哀想なギタリストです

だって一緒に演奏するのが「あいつら」ですから(笑)

ジョン・ボーナムとJ.P.ジョーンズと一緒に演奏しなければならなかった人…

最高なギターとツマミ12時じゃ、何も聴こえなかったんじゃないですか(笑)

「対ドラム対策」を、極限まで突き詰める必然性に追われたギタリスト

 

もしそこに、いいギターの音があったら…

そのバンドの「ドラム」が、ギターがいい音している「理由」です

(その逆もまたしかり)

ドラムの在り方が、ギターの音色をある特定方向に仕向けているんです

もしローリング・ストーンズのドラマーがジョン・ボーナムだったら?

キースの弾き方とセッティングは、あのままで良いわけないですよね(笑)

要は、ドラムの音を避けて、ギターが生き残れる音域だけに音を圧縮する

それが出来ているか否か

 

普通のゴハンに梅干、で済むなら良かったんです

でも1968年以降は、ゴハンがドライカレーなんですわ!(笑)

そのドライカレーの隙間を縫って、存在感を示せる梅干ってどんな味やねん!

それをやらなきゃいけなかった人、それがジミーペイジです

「音の鳴らし方」そのものにコンシャスだったから、他が抜け落ちた

その抜け落ちたものが、練習です(笑)

ジミーペイジが下手と言っている人は、「音」を聴いてないのかもしれませんね

 

ジミーペイジは頑張った

じゃあ我々はどうする?

 

やっとスタートラインが見えてきた、という事です

 

つづく...

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