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2019.06.01―f字孔―

サウンド考察 ―f字孔― 04

―f字孔― STUDIO-KOHKIからお届けするサウンド考察

ギターが思ったような音で鳴らない…
問題はギターかアンプか、腕か(笑)、はたまた?
でも一番抜け落ちているのは「考え方」だったりするのかもしれない
何かのヒントになれば、という事で不定期に書いていきます

――――――――――――

 

前回、エレキギターはドラムとの相対的な関係性の中にある

そんな考え方について書きました

木を見るためには、先に森を見なくちゃいけない

ギター・サウンドの追求は、ギター以外の音への意識からスタートする

平たく言ってしまえば、「周りの音をよく聴いて」ですね

もう聞き飽きたような話でしょうか(笑)

今回はおさらい的に、そこをもう少し整理してみます

 

バンド演奏

それは具体的に、何が起こっている状態を指すんでしょうか

もちろん、演奏をしているんですが(笑)

それだけでしょうか?

見方を変えれば、「周波数の奪い合い/分け合いをしている」とも言えます

バンド全体で放つ、低音から~高音までの「フルレンジ」

それが、みんなで奪い合ったり、分け合ったりする素材となるパイです

パイは1枚しか無いので、分けるしかない

4人編成なら、フルレンジを4分割してシェアする

(実際には、そんな単純では無いですが…)

言い換えれば、アンサンブルというのは「全部でひとつ」になるという事

これを目的としています

この「全部で1個」というのがミソですね

全体で、ひとつの完成された音像を組み上げる、という事

 

視覚的にイメージしやすいのは、例えばパズルでしょうか

パズルのピースって、ひとつひとつは凹凸で変な形をしていますよね?

でも、あるピースの凹に、別のピースの凸がハマり、それが連続していけば…

出来上がりは、四角形のひとつの絵・像

バンド・アンサンブルも、全く同じ事をやっているわけです

ギターの音は、そのパズルの中のピースのひとつに過ぎない

それも、ピース単体だとかなり歪(いびつ)な形の…

 

例えば、ミキシング作業をしていて、ほぼ完成に近づいた頃

何となくベースがいい音だな、と思ってベースだけ聴いてみる

すると、だいたいショボい音しています(笑)

逆に、ベース単体だけで成り立つような音がしていたら困りますよね

ドラムとベースの凹凸を噛ませて、ひとつの音像にする事が目的ですから…

リズムトラックだけでも、この調子です

実際には、すべての楽器間の関係性において、同じ事が起こり続けます(笑)

 

ギターとその周辺の機材に十二分に投資し、音作りも万全!

ところが、いざバンドで演奏した時に、思ったような結果が返ってこない

ギターが鳴りたい所で、鳴らない!

このパターン、大抵ギターの音だけを聴いて善し悪しを判断した音作りです

ギターだけでいい音しているのです

ギター1本で、パズルの四角形を完成させようとしている

ギター単体でフルレンジを満たした状態が最高なんだ、という思い込み…

6弦をミュート気味にズンっと弾くと、そこにキックが鳴ったような気がする

低音弦の豊かな鳴りに、ベースの存在すら感じる

高音弦をシャキ~んと弾くと、あたかもそこにシンバルが見える…

要は、ギター1本の中に、「バンドの残像」を見ているんです…

というか見たい!

なぜなら、いまひとりで弾いているから(笑)

…ましてやそこに、もうそれなりの投資をしてしまったわけですよね?

そりゃいい音が出てるとでも思い込まなきゃ、やってられないですよね(笑)

で、本番もエレキギターをひとりで弾くんでしたっけ?

 

いざバンドで演奏します

低音には、本物のキックとベースが居ます

高音には、本物のシンバルやヴォーカルの子音が居ます

そこにギターが居て、どうするんですか?(笑)

これがフルレンジというパズルの中の、いちピースでいる事の基本的な考え方です

ギターが、全てを担ってはいけないのです

 

再び、いいギターの音の定義

これを断定するのは難しい?

…でも難しいままにしておくのは、ただの知的怠慢(笑)

常に「その時点での正解」を携えて、演奏していかなくては!

いいギターの音の定義とは?

 

『アンサンブルの中で求められる「ギターの所定位置」を射抜いた音』

 

とりあえず、コレではないでしょうか?

バンド・サウンドの中で、ギターには明確な居場所が用意されているようです

要はストライク・ゾーン

そこに、どストライクで刺さった音を、「いい音だ」と感じる

全体の中で求められている役割を果たせる音

その音楽の商品価値に、貢献する音

その楽曲の背中を、後押しする音

それを聴いた時、人は条件反射的に「いい音だ」と感じるのではないでしょうか

 

そして、その感じかたは「美しい錯覚」であるとも言えます

すべての凹凸が噛み合った音像の中で、華麗に鳴り響くギターに好印象を持つ

が、先述のように、そのギターだけを取り出した所で、単体では成立しない…

「いいギターの音」というピースの形は、それ単体では歪(いびつ)です

それがアンサンブルの中の指定席に、抜かりなく鎮座することが出来た時…

「何ていいギターの音なんだろう!」…と人は錯覚する

錯覚し続ける事が、聴衆の正義

そして錯覚させ続ける事が、音楽家の正義ですね(笑)

 

これらを踏まえると…

投資に不相応な結果が返ってくるケースも十分にあり得る、と言わざるを得ません

ギターに投資するという事と、ストライク・ゾーンを射抜くという事

この両者は、ほとんど関係のない作業ですから(笑)

 

ところで、そのストライク・ゾーンの音色は、演奏する音楽によって変化します

スリーピースなら、ヴォーカル込みだと4分の1の面積がギターに宛がわれる

10人編成なら、10分の1ですよね(あくまで極端なイメージ)

この、求められる面積=音色の違いを、「好み」で片付ける傾向があります

「好き好き」「人それぞれ」

そのためか、いい音を断定的に定義する事は難しい、とされてきました

しかし、本当にそうでしょうか?

 

演奏する音楽が変わると、そこに求められるストライク・ゾーンの音色も変わる

音楽が変われば…

では、音楽が決まれば、どうですか?

その音楽を演奏している瞬間は、その音楽を演奏すると決めたわけですよね?

決めないで、どうやって演奏するんですか(笑)

いろいろな音楽がある…

でも、同時に演奏できる音楽は、せいぜいひとつですよね(笑)

では、その時演奏している音楽に求められる、ストライクな音色も?

「ひとつ」ですよね

百歩譲って、「ひとつ、か、ふたつ」

…実はほぼ、断定的に定義出来るんではないでしょうか!?(笑)

 

「何がいい音か」は、音楽の内容によって変わる

しかし内容が定められたら、そこに宛がわれるべき「いい音」も定義される

そこに対応出来ない状態を、「正解なんて…無い!」で逃げる?

これは単に、我々の怠慢ですよね(笑)

 

ちなみに、音楽の歴史の中で様々な「いい音の定義」を提示してくれた音源ソフト…

いわゆるCDってやつですね

1枚2千円で売っております(笑)

我々はいったい、何を聴いてきたんでしょうか…

 

という事で、次回はより具体的な音作りを考察してみたいと思います

 

 

つづく...

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